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人事評価制度とは?目的や評価対象項目と5つの評価手法

更新日:2023/11/01

「人事評価制度」とは、経営方針の浸透や人材配置を目的に、従業員を評価する制度のことです。
評価方法はさまざまで、企業の方針によって異なります。自社に合った評価制度を導入・運用していくためには、人事評価制度はどのような要素をもとに構成され、どんな評価対象項目があるのかを把握することが重要です。

今回は、人事評価制度の目的や評価対象項目、5つの人事評価手法を紹介します。



人事評価制度とは?

人事評価制度とは、従業員の能力や働きぶり、パフォーマンスや貢献度などを評価し、給与などの報酬や待遇に反映する制度のことを指します。企業は、人事評価制度を導入し、従業員の適正評価を行うことで、人材育成やマネジメント、配置転換などができます。

人事評価制度の仕組み

人事評価制度では、従業員に昇格や昇給となる人事評価基準を明示し、報酬や等級などの待遇を決定します。
企業組織における人事評価は以下の3つの要素から成り立っています。

等級制度「職務」、「職能」、「役割」などの分類で従業員に求めることを階層化、序列化した制度
評価制度従業員の行動や実績などの成果を評価する制度
報酬制度評価や等級に基づき、従業員に金銭的報酬や非金銭的報酬を反映する制度

人事評価制度の目的

人事評価制度の効果を得るためには、導入目的を明確にする必要があります。従業員を評価することを目的とせず、あくまで手段として制度の導入・運用を行うことが重要です。

  • 経営方針などの企業ビジョンの浸透
  • 能力開発をはじめとした人材育成
  • 適切な人材配置
  • 従業員の職階や待遇の決定


人事評価制度を制定することは企業と従業員の双方にメリットがあります。企業は業務スキルや実績だけでなく、経営方針や企業ビジョンを評価基準にすることで、従業員に理念の浸透を促すことが可能です。さらに、従業員それぞれのスキルや特性を把握することができるため、評価を通じた最適な人材配置や、人材育成、マネジメント強化につなげることもできます。
従業員にとっても、自身の成果や働きぶりを評価してもらえることで、従業員ロイヤリティやモチベーションアップにつながると言えるでしょう。

人事評価制度の主な評価対象項目

人事評価では、従業員を3つの分野から評価することが一般的です。ここでは、従業員の評価対象項目について紹介します。

【1】業績評価

業績評価とは、一定期間における自社への貢献度を評価する項目です。基本的には、目標に対する売り上げや利益などの数値を基準に評価をします。数値を基準に評価することが難しい場合は、KPIの達成率などの定性評価をすることが一般的です。企業が適正な業績評価を行うためには、数値や目標などの明確な判断基準を設ける必要があります。

【2】能力評価

能力評価とは、「業務を遂行するための知識やスキルが備わっているか」を評価する項目です。ポジションや職種によって、評価される能力が異なることが特徴と言えます。「問題解決力」、「コミュニケーション力」、「実行力」なども能力評価項目の一つになります。

【3】情意評価

情意評価とは、業務に対する態度や意欲を評価する項目です。数値化できない要素を評価することが特徴で、「業務へ積極的にチャレンジしたか」、「チームの士気を高める言動をしているか」などを評価します。また、一般的には日々の出退勤状況(勤怠)も情意評価の対象となることがほとんどです。
情意評価は定量化して評価することが難しく、評価者によって結果が左右されやすいため注意が必要です。

人事評価制度の評価方法5つを紹介

人事評価制度といっても、その手法はさまざまです。自社に適した手法を導入するためには、どのような手法があるのかを把握しておくことが重要となります。ここでは、一般的な評価手法を5つ紹介します。

【1】コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、自社で好業績を残した人材の行動や特性から評価項目を組み立て、評価する手法のことです。理想の社員像を明示して基準とすることで、従業員が自身に足りない要素を把握することができます。具体的にどのように行動すれば良いかがわかりやすいため、成長促進効果も期待できるでしょう。一方で、市場の変化や従業員の社歴や等級に合わせて、定期的な指標の見直しが必要です。

【2】360度評価

360度評価とは、部下、同僚、上司などからフィードバックをもらい評価する手法です。複数の関係者が評価をすることによって、数値では分かりにくい貢献度なども客観的に把握することができます。しかし、評価に慣れていない従業員も参加するため、精度が低くなる可能性があるでしょう。

【3】バリュー評価

バリュー評価とは、会社の理念や行動指針を、従業員が実践できているか評価する手法です。企業は自社のバリューを正しく理解させることができ、従業員と企業間の価値観のミスマッチを防ぐメリットがあります。しかし、営業成績のように定量的な判断基準がないため、評価内容に説得力を持たせるためには、企業独自のバリューを点数化して採点するなどといった工夫が必要です。

【4】ノーレイティング

ノーレイティングとは、従業員の業績や目標達成度をランクや階級によって評価しない、新たな人事評価制度です。一般的には、上司が1on1でフィードバックを行い、その時点の成果やパフォーマンスを評価します。そのため、迅速な目標達成を促すことに期待できるでしょう。一方で、リアルタイムでの評価は評価者の負担が大きいため、導入する際は現場の混乱を招かないよう慎重に進める必要があります。

【5】プロブスト法

プロブスト法とは、あらかじめ作成したチェックリストをもとに、基準値を満たしているかどうかをチェックする評価方法で、項目は「仕事の成果」や「スキル」、「勤務態度」などが一般的です。あらかじめ決まっている評価項目をチェックしていく形式のため、評価される従業員との親密度や評価社による偏りを防ぐことができます。
一方で、時代な内部体制の変化によって、評価項目は更新し続けなければならないため、管理の手間が増える可能性があります。

人事評価制度で気を付けたい注意ポイント

フォー・ノーツ株式会社の「年功序列をはじめとする人事評価制度に関する意識調査」(※1)によると、従業員は人事評価制度に以下のような不満を持っていることがわかります。

  • 評価基準が曖昧・従業員に明示されていない
  • 評価結果について、納得のいく説明をしてもらえない


どんな手法で人事評価制度を行うとしても、評価基準を従業員へしっかり周知する必要があります。人事評価制度は形骸化してしまうと、従業員の不満につながりやすく、離職を引き起こす可能性もあるため、しっかりと制度を組み、周知していくことが重要です。
また、評価を行った際は、必ず評価結果をきちんと説明することがポイントです。人事評価制度を実施するだけでは、本来の評価制度の目的を達成することは難しいでしょう。企業が評価に基づいた適切な人材配置で効果を出すには、どのような評価で、なぜこの結果になったのかを従業員に説明することは欠かせません。従業員自身が評価に納得することによって、モチベーションが向上し、さらに組織としての成長が見込めるのです。
※1:フォー・ノーツ株式会社「年功序列をはじめとする人事評価制度に関する意識調査

まとめ

人事評価制度は、企業と従業員の双方にメリットがあります。人事評価制度を組むことによって、従業員のモチベーション向上や組織としての成長が見込めるでしょう。
一方で、評価基準が周知されておらず、結果の説明がしっかり行われていなければ、人事評価制度は目的を果たせず、効果を得られにくいです。
評価制度を導入する際は、しっかり説明、周知して従業員一人ひとりが納得できる仕組みにすることが重要です。

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