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福利厚生の必要性とは?導入するメリット・デメリットや自社に適した選定ポイント

更新日:2023/11/01

求職者が福利厚生を重視して企業を選ぶことは、今や当たり前と言っても過言ではありません。
「ワーク・ライフ・バランス」が重視され、仕事と生活の両方を充実させる働き方が求められている近年、「福利厚生」にも多様性が求められていくでしょう。

今回は、福利厚生の重要性やメリット・デメリット、自社に適した福利厚生の選定ポイントを紹介します。



福利厚生とは?

福利厚生とは、企業が従業員やその家族の健康、生活水準の向上を目的として実施する取り組みや施策のことです。 
給与や賞与以外の報酬を指し、言わば「企業が提供する従業員向けのサービス」のようなものです。その種類は多岐にわたり、一律手当として全ての従業員に給付されるタイプや、従業員が内容を選択できる「カフェテリアプラン」タイプのものなどがあります。 

福利厚生の種類

【1】法定福利厚生

「法定福利厚生」とは、法律で企業に支払いを義務付けられている福利厚生です。 雇用保険や健康保険、労災保険などが該当します。 

【2】法定外福利厚生

「法定外福利厚生」とは、企業が独自で導入している福利厚生です。住宅手当や家族手当、財形貯蓄制度など種類はさまざまで、導入は義務付けられていません。 
「法定外福利厚生」は、従業員とその家族の生活支援や従業員のモチベーションアップを目的として導入されるケースが多く、離職回避につながるといったメリットもあります。 

福利厚生導入のメリット

【メリット1】従業員の満足度の向上が期待できる

現代は、社会問題としてストレスが顕在化した「ストレス社会」と言われています。さまざまなストレスを抱えながら働く従業員に対し、従業員のメンタルケアを図ることは、企業の役割の一つと言えるでしょう。
福利厚生制度を通じて、給与以外の報酬を従業員に還元することは、従業員やその家族の満足度向上につながります。さらに、業務とプライベートのバランスが取れることで、精神的にもゆとりが生まれ、労働生産性の向上が見込めるでしょう。
福利厚生を導入することによって、従業員の満足度を向上させることができると、従業員ロイヤリティを高める効果も期待ができるかもしれません。   

【メリット2】採用ブランディング効果が期待できる

充実した福利厚生は、採用ブランディング効果が期待できます。特に、ユニークな福利厚生を扱っている企業はそれだけで、他社との差別化が可能となり、企業の認知度の向上が図れるでしょう。

また、福利厚生を充実させ、従業員が働きやすい職場を整えることができると、人材の流出が生じにくくなる可能性が考えられます。多くの人材が定着している環境は、求職者に“従業員満足度が高く、長く働ける職場である”という印象を与えることができ、求職者の志望度向上に繋げることが可能です。福利厚生は採用活動において、魅力付けの役割を担っており、企業のアピールやブランディング対策では欠かせないポイントの一つとなっているのです。

【メリット3】節税効果がある

福利厚生にかかる費用のなかには、非課税対象となる福利厚生費として計上できるものがあります。 福利厚生費として計上できる主な費用は、企業負担分の社会保険費用や健康診断費用をはじめ、法定外福利厚生の住宅手当、社員旅行や社内行事費用、食事補助費用などが該当します。
福利厚生費には明確な決まりや上限はありません。しかし、基本的には「社会通念上、常識と考えられる範囲の金額」を満たしている必要があり、税務調査などで指摘をされた場合は福利厚生費として認められないことがあるため注意が必要です。 

福利厚生導入のデメリット

【デメリット1】費用負担が大きい

少子高齢化社会に伴い、法定福利厚生である社会保険料は年々増加傾向にあります。 
日本経団連が行った「福利厚生費調査(2019年度)」によると、従業員1人につき、1ヵ月あたりの法定福利費は84,392円で、現金給与総額に対する比率は15.4%と過去最高値となっています。(※1) 
企業にとっては、法定福利厚生だけでも費用負担が大きく、義務ではない法定外福利厚生を導入するハードルは高いと言えるでしょう。 
コスト面で福利厚生の導入を懸念している企業は、「アニバーサリー休暇」や「失恋休暇」などの低予算で導入ができる休暇制度などから検討すると良いでしょう。 
※1:一般社団法人 日本経済団体連合会 | 2019年度福利厚生費調査結果の概要

【デメリット2】管理負担が大きい

新たな福利厚生制度を利用してもらうことで、従業員の満足度の向上が見込める一方、申請書類作成や利用機関とのやりとりなど、管理担当者の負担は大きくなります。 
また、福利厚生は導入して終わりというわけではありません。せっかく導入しても、従業員の利用率が低いと意味がないため、常に従業員の利用率をチェックしておく必要があります。 導入にかかる手間・時間だけでなく、利用状況の把握や制度活用促進といった運用面の負担があることも、福利厚生を入する前に理解をしておきましょう。

【デメリット3】全従業員のニーズに応えることが難しい

従業員の少数派の意見で、好みが偏った福利厚生制度を導入することは、制度を利用しない、できない従業員から不満が上がる可能性が考えられます。 福利厚生は個人の好みや家族構成によって、利用率に多少差が出てしまうことはありますが、多くの従業員が利用できる福利厚生を導入できるよう、事前に「従業員がどのような福利厚生を望んでいるのか」を把握しておくことが重要です。 

自社に適した福利厚生を選定するポイント

「どんな法定外福利厚生を導入すれば良いのかわからない」といったお悩みをお持ちの担当者は多いのではないでしょうか。 福利厚生を選定する際のポイントを抑え、自社に適した制度を導入しましょう。 

POINT1:福利厚生を導入する目的を明確にする

福利厚生の充実を図るとき、そこにどんな目的が存在するかを明確にすることが重要です。目的をはっきりさせることによって、自社に適したサービスの選定がしやすくなります。 まずは、「デスクワークが多い従業員のために体力面での健康維持を推進したい」、「採用ブランディングにも繋がる、ユニークな福利厚生を導入したい」といったように、福利厚生を導入する目的の設定を行いましょう。 

POINT2:目的に応じた福利厚生サービスの選定を行う

次に、目的を叶えることができる福利厚生サービスの選定を行います。 例えば、従業員が働くうえでのストレスを軽減したい場合には、職住近接を勧める「近距離手当」という制度を設けると良いでしょう。「近距離手当」とは、会社から一定の距離以内に住んだ場合に、一定の支払いをする(もしくは家賃の一部を負担する)という手当です。通勤による負担を減らすことによって、労働時間以外の拘束時間を減らすことができます。また、通勤時間が短くなれば、職と住の均衡が取りやすくなり、ゆとりを持った生活が送れるでしょう。
 
他にも、いくつかの福利厚生がパッケージ化されている「パッケージサービス」や、従業員一人ひとりが利用するサービスを自分で選択できる「カフェテリアプラン」など、その種類はさまざまです。 
福利厚生サービスは、加入している企業や利用している人数で、より良いサービスが受けられるシステムになっているため、自社に適した福利厚生を導入するためにも、目的に応じた福利厚生の選定を心がけましょう。 

まとめ

「ワーク・ライフ・バランス」を重視する流れが加速する近年、仕事と生活の両方を充実させたいと考える人は多いでしょう。そこで、企業が注力すべき取り組みが「福利厚生の導入」です。 
特に、法定外福利厚生の導入は企業のブランディング効果もあり、採用活動における重要なアピールポイントにもなり得ます。また、従業員の満足度や労働生産性の向上も期待ができるでしょう。
しかし、福利厚生の導入は費用や管理負担が大きいため、無闇に導入することはおすすめできません。まずは「自社に適した福利厚生は何か」、「自社の従業員はどんな悩みや希望があるのか」を把握し、導入目的に適した選定を行いましょう。

 

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