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テレワークの人事評価はどうすべき?課題点と解決策、相性の良い評価制度

更新日:2023/12/21

近年、コロナ禍を機に働き方が多様化し、在宅勤務をはじめとするリモートワークやシェアオフィスといった働き方への意識の変化が加速しています。
特に、テレワーク(在宅勤務)はコロナ禍の一時的なものではなく、緊急事態宣言などが解除された後においても、永続的に在宅勤務を推奨する企業が増えています。

どこにいても業務をすることができるという利便性がある一方で、テレワークを施行する企業の中には、コミュニケーションの機会が減り、人事評価を行うことが難しいという声も上がっています。

今回は、多くの企業が導入しているテレワーク(在宅勤務)における人事評価の課題点と解決策について解説します。




人事評価制度とは

人事評価制度とは、社員の能力や会社への貢献度を評価し、給与などの待遇に反映させる仕組みのことです。
適正な人事評価を行うことで、企業理念やビジョンの浸透、人材育成やマネジメントの強化にもつながるため、企業を成長させるためには欠かせない制度と言えます。

テレワークに適した人事評価制度の必要性

あしたのチームが行った『テレワークと人事評価に関する調査』によると、テレワーク時の人事評価の難しさについて、管理職の7割以上が「オフィス出社時と比べて難しい」と回答しました。(※1)

テレワークと人事評価に関する調査、オフィス出社時と比べて難しいは73.7%、オフィス出社時と変わらないは22.2%、オフィス出社時と比べて簡単であるは4.0% プレシキ!SCHOOL|プレシキ!スクール
※1:あしたのチーム『テレワークと人事評価に関する調査』|3.テレワークと人事評価 ①テレワーク時の人事評価の難しさについて



さらに、「テレワークを前提とした場合、現在の人事評価制度のままで良いと思うか」という問いに対して、全体の41.3%が「見直し・改定する必要がある」と回答しています。(※2)

テレワークと人事評価に関する調査、全体の41.3%が見直し・改定する必要がある、36.4%が現在のままで良い、どちらともいえないは16.9%、わからないは5.4% プレシキ!SCHOOL|プレシキ!スクール
※2:あしたのチーム『テレワークと人事評価に関する調査』|3.テレワークと人事評価 ③テレワークを前提とした場合、現在の人事評価制度のままで良いと思うか



人事評価制度は社員の給与やキャリアアップに大きく関わるため、社員の仕事に対するモチベーションにも大きな影響を与えます。自身の仕事に対する意識と人事評価に乖離があると、最悪の場合、退職という選択をする社員も出てきてしまうでしょう。
企業がテレワークを継続して実施するためには、働き方に合わせた人事評価制度の見直しが求められているのです。

テレワーク導入で人事評価が難しい2つの理由

【1】勤務態度を実際に見ることができない

日本の企業は、仕事の成果だけでなく勤務態度も人事評価の対象とされることが一般的です。
しかし、テレワークの場合、オフィス勤務時と比較するとコミュニケーションの機会が極端に減ってしまうため、一般社員と管理職の意思疎通が希薄化してしまう可能性が考えられます。勤務態度を目視できないと、仕事へ取り組む姿勢やモチベーションなどの評価が困難となってしまうことから、テレワークでの人事評価は難しいとされているのです。

さらに、働き方を選択制にしている企業は、実際に部下の働いている姿を見ることができるかどうかで評価の公平性が欠けてしまうという懸念もされるでしょう。テレワークでも、オフィス勤務でも、どちらも平等に評価できる項目や基準を取り入れることが重要となります。

【2】勤務時間の管理ができない

勤務時間の実態が掴みにくいという点も、人事評価が難しいとされる理由の一つです。残業の有無は人事評価にも大きな影響を与える要素となりますが、テレワーク環境下では、社員の申告で勤怠管理を行うため、適正な評価ができない可能性が考えられます。

また、テレワークは勤務環境と生活環境が変わらないため、プライベートと勤務時のメリハリをつけることができず、パフォーマンス・労働生産性の低下を招きかねません。適正な人事評価を実施し、社員のモチベーションを維持するためには、コミュニケーションの質や就業時間の管理にも工夫をする必要があるでしょう。

テレワークに適した人事評価制度 3つのポイント

テレワーク環境下では、対面でのコミュニケーションが少なくなることから、人事評価をすることは難しいと言われています。また、テレワークとオフィス勤務のどちらの社員もいる企業では、評価される人材の印象の濃淡が生まれやすく、人事評価に公平さが欠ける可能性があります。 テレワークを実施している企業は、以下の3つのポイントを参考に、人事評価制度の見直しを行うと良いでしょう。

POINT1:評価項目・基準の明確化と共有

テレワークは、直接対面する機会が減ることから、オフィス勤務での人事評価以上に評価制度の項目や基準を社員へ共有しておくことが重要となります。
特に、テレワーク下では社員の勤務態度を目視することができないため、評価しやすい成果(数値結果)を重要視する傾向が高まります。
「何ができているから評価されているのか」を判断できる基準を明確に提示することで、評価制度に対する信頼性を高め、社員の仕事に対するモチベーション維持にもつなげることができるのです。

POINT2:評価方法の統一

人事評価において、「誰が、いつ、どのように評価しているのか」が曖昧になると、公平な評価制度は成り立ちません。評価時期や評価者など、評価方法を統一しておく必要があります。
また、テレワークにおいては、評価をする人のテレワーク経験の有無もポイントとなります。テレワーク経験のない人がテレワークの社員を評価することは難しく、偏りのある人事評価になる可能性が考えられるため、評価者の選定も基準を定めたうえで行う必要があるのです。

POINT3:ITツールの導入

ITツールを導入することによって、コミュニケーションの機会が減ることで生じる“人事評価のばらつき”を防ぐことが可能です。
特に、人事評価システムは社員の情報を一元化できるため、よりスムーズに評価を行うことができます。また、画面共有機能や勤怠管理などといった機能が備わっているシステムを活用することで、管理職(マネジメント層)の管理工数の削減にもつなげることも可能です。

テレワークと相性の良い人事評価制度例

【1】目標管理制度

目標管理制度とは、社員に具体的な個人目標を決めてもらい、その進捗や達成度合いで評価をする人事評価制度です。
個人目標を企業目標とリンクさせることによって、企業の一員であることを自覚し、貢献性を感じてもらえるというメリットがあります。また、自身で個人目標を立てることによって、さらに目標達成意欲を高めることができるでしょう。

【2】ノーレイティング制度

ノーレイティング制度とは、社員の業績や目標達成度をランクや階級によって評価しない新たな人事評価制度です。管理職(マネジメント層)は、定期的な面談を通してリアルタイムで目標を設定し、目標の軌道修正などのフォローアップを行います。評価をしないわけではなく、面談を重ねながらフィードバックをすることによって評価を積み重ねていくイメージです。一般社員は今の自分に対する評価を得ることができるので、環境の変化に対応しやすく、社員のモチベーションを高めることも期待ができるでしょう。

さらに、テレワーク下では、コミュニケーションの機会が少なくなるというデメリットが挙げられますが、頻繁な面談が必要なノーレイティング制度を導入することで、上司と部下の距離感を保つことが可能となります。
ただし、面談の回数が多いほど管理職(マネジメント層)の負担が増えてしまうため、実際に導入が可能なのか、自社に適切な評価制度なのか、慎重に判断する必要があります。

【3】360度評価制度

360度評価制度とは、部下、同僚、上司からのフィードバックと、自身による自己評価で評価する人事評価制度です。複数の関係性から多角的に評価を行うことから、「多面評価」とも呼ばれており、評価に客観性を保てるという特徴があります。

また、「上司にどのように評価されるか」だけでなく、「同僚や部下と良好な関係性を築きながら、どのように仕事を進めるか」を意識するきっかけにもなるでしょう。
さらに、テレワークで希薄化が懸念される社員同士のコミュニケーションを促すことができるため、仕事のしやすさや信頼性の構築にも繋がります。

まとめ

適正な人事評価を行うことは、企業理念やビジョンの浸透、人材育成やマネジメントの強化につなげることが可能です。
しかし、勤務態度を目視できないテレワーク下では従来の人事評価のままでは、適切な評価をすることが難しいとされています。

テレワークであっても、オフィス勤務であっても、その人材の適正な評価を行うことによって、人事評価制度は意味を持ちます。コミュニケーションの機会を失いやすいテレワークだからこそ、社員のモチベーションを高める人事評価制度を見直すことを検討してはいかがでしょうか。

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