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更新日:2023/12/21
少子高齢化により労働人口が減少しているなか、人材を確保するために「シニア採用(※1)」を取り入れる企業が増加しています。
これから本格的な人口減少フェーズに突入していく日本では、定年後も働く意欲を持つ高年齢者が増え、企業によるシニア再雇用への需要はさらに高まっていくと予想されます。
今回は、シニア採用の実施を検討している企業向けに、シニア採用がもたらすメリットやデメリット、実施する際に企業が押さえておくべきポイントについて解説します。
※1:本記事では65歳以上を「シニア」と定義します
目次
シニア採用とは、定年退職した65歳以上の人材の雇用を目指す採用手法のことを言います。
総務省統計局が公開している人口推計結果によると、日本の総人口は9年連続減少傾向にあります。そのうち、65歳以上の人口割合は28.4%と、過去最高の値を記録しています。(※2)
シニア採用を実施することにより、少子高齢化による労働人口の減少を補うことができると考えられており、近年では企業や政府からも注目が集まっています。
※2:総務省統計局「人口推計(2019年10月1日)」|https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2019np/index.html
シニア採用は、企業にさまざまなメリットをもたらします。
企業がシニア採用を行なうことで得られる4つのメリットを紹介します。
シニア採用の最大のメリットは、経験豊富な人材を確保できることです。
シニア層はさまざまな人生経験、スキルを有しているため、即戦力としての働きが期待できます。
特に、専門性の高い職種の場合は経験や技術が必要であり、
同業種から、もしくは継続雇用でシニア採用すれば、企業にとっても貴重な存在となるでしょう。
シニア世代の採用は、人材不足の改善につながります。現在の日本は少子高齢化が深刻で、現役世代の人材が不足している企業も少なくありません。
株式会社マイナビが行なった調査によると、非正規雇用のシニア採用をしている業種別割合は、「警備」が88.1%と最も高く、次いで「清掃」が81.0%、介護が80.7%と、人手不足の業種を中心に注目を集めていることがわかります。(※3)
仕事内容はそれぞれ異なりますが、シニア世代が戦力として活躍している現場は増えてきているのがわかります。
※3:株式会社マイナビ「非正規雇用の外国人・シニア採用に関する企業調査(2021年)」
|https://career-research.mynavi.jp/reserch/20210629_11328/
定年後に働く理由はさまざまですが、人の役に立ちたいと考える方もいます。モチベーションの高い方を採用できれば、周りにポジティブな影響を与え、若手の活性化につなげることができるかもしれません。
シニア世代の多くは職歴や人間関係などの経験が豊富であり、実体験に基づいたアドバイスが若手社員の参考となる可能性もあるでしょう。
国から助成金を受けられることも、シニア採用のメリットのひとつです。
厚生労働省は「特定求職者雇用開発助成金(※4)」や「65歳超雇用推進助成金(※5)」といった制度を設けることで、生涯現役社会の実現を推進しています。
それぞれ支給条件や支給額が異なるため、シニア採用を検討する際は必ずチェックをしておきましょう。
※4:「特定求職者雇用開発助成金」…高齢者などの就職困難者を受け入れた企業に支給される助成金制度
※5:「65歳超雇用推進助成金」…定年の引き上げ、高年齢者の雇用管理制度の整備や無期雇用などを行なう企業に支給される助成金制度
シニア採用には、メリットだけでなくデメリットも存在します。
以下、紹介するデメリットも理解したうえで実施の可否を検討しましょう。
シニア世代は、現役世代と比べると体力、健康面でのリスクが懸念されます。
特に立ち仕事のような体力的に負荷のかかる業務においては、シニア層の体力面に課題を感じる企業も多いでしょう。
また、健康面による急な欠勤や退職、現役世代と同じ労働時間に働くことが困難となるケースも考えられるため、企業は時短勤務といった柔軟な対応ができるよう準備しておくことが必要です。
シニア採用を行なう場合、人材配置にも配慮が必要です。例えば、若手社員が多い部署の中にシニア人材を配置しても、周囲と打ち解けることは難しいかもしれません。
また、ジェネレーションギャップによるストレスを抱えてしまう可能性もあるでしょう。
シニア採用を検討している企業は、業務や組織体制を慎重に考えたうえで、シニア層が実力を発揮できる人材配置を行なう必要があります。
シニア採用を実施する際に必要な事前準備や注意点を紹介します。
シニア層は若手層と比較をして、新しい仕事を覚えることが苦手な傾向にあると言えます。そのため、新しい仕事を覚えてもらうよりも、今までの経験や知識を活かしたポジションを用意することが好ましいでしょう。
また、業務量など、体力面・健康面にも配慮することが重要です。
シニア採用に限らず、働く環境は仕事の成果や作業効率に直結する重要な要素です。
シニア層の特徴を考慮したうえで、時短勤務、フレックス制度、週○日〜OKなど、柔軟に対応できるような環境を用意しておくことが重要です。
シニア採用は、企業の人材不足を解決する一つの手法として、多くの企業から注目されています。体力面・健康面でのフォローが必要といった課題はあるものの、積極的にシニア採用を行なっている企業も少なくありません。
シニア採用をうまく活用することができれば、人材不足の解消だけでなく、組織の活性化や助成金の受給など、さまざまな利点を生み出してくれるでしょう。
まだシニア採用を導入していない企業は、今後もさらに進んでいく少子高齢化に向けて、「シニア採用」も一つの採用手法として検討してみてはいかがでしょうか。