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更新日:2023/12/21
「ワークライフバランス」というワードが世に出て久しくなりますが、近年これに異議を唱える「ワークアズライフ」という概念があります。
ワークアズライフは、時代の変遷に沿った生活スタイル・仕事に対する価値観で、ワークライフバランスとは異なり、仕事を生活の一部として考えることで毎日を充実させる考え方です。
今回は、ワークアズライフについてメリットやデメリット、考え方を取り入れるポイントを解説します。
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目次
ワークアズライフとは、仕事とプライベートを一体化させることにより、ストレスを適切に管理し充実した生活を送る考え方のことを指します。
筑波大学教授でメディアアーティスト、研究者、実業家でもある落合陽一氏が提唱した考え方です。
ワークライフバランスとは、仕事とプライベートを明確に区切り、バランスをとって生活を充実させることで、多様な人生を実現するための考え方です。実現させるためには、業務改善や残業削減など、徹底したタイムマネジメントが求められます。
ワークライフバランスは、生活のために仕事をするという価値観の延長線上にある働き方で、ワークアズライフとの違いは、仕事とプライベートの線引きがはっきりしているかどうかです。
新型コロナウイルス感染症は社会に多大な影響を与え、業務ができる場所を会社だけに限らない「テレワーク」や「リモートワーク」を普及させました。
どこでも仕事ができる便利な利点がある一方で、従業員が家で業務を行うことによりプライベートと仕事の区別がつかず、家で仕事をするために間取りを考慮して引っ越しをする人など、仕事を生活の一部と認識して考え始める人が増加しました。
「ジョブ型雇用」や「スキルアップ転職」などのワードが社会に浸透し始め、近年では個人のスキルで生き抜く考えを持つ人が増えています。
ランサーズ株式会社の「フリーランス実態調査」によると、副業を解禁する企業が増加し「副業元年」と言われた2018年と比較して日本のフリーランス人口は500万人以上増加し、2021年には1,670万人になったことがわかりました。(※1)
会社から独立して、フリーランスや個人事業主として働く人が増え、従来より仕事が生活の一部となっている人が増加しています。
※1:ランサーズ株式会社 『フリーランス実態調査 2021』
ワークライフバランスのように、仕事とプライベートを別々に認識している場合、どうしても仕事にプライベートの時間を奪われているという考えが生まれやすい傾向があります。
ワークアズライフの考え方を取り入れることで、仕事とプライベートの一体化を図ることができ、ストレスが発生しにくい環境を作ることができます。また、ワークアズライフの考え方を企業に浸透できることで、従業員の不定愁訴や業務上の滞りなく、スムーズなテレワークの導入なども実現できるでしょう。
一般的に長期休暇明けは、離職率が高まる傾向があると言われています。この原因として仕事とプライベートの線引きが明確化されすぎた結果、ストレスを感じやすいことが挙げられるでしょう。
ワークアズライフの考え方は、仕事とプライベートを一体化するうえで、自身が楽しいと感じるものに対して理解を深めることができます。
従業員がワークアズライフの考え方を理解・実行することで、ストレスの源を自発的に解決することができ、各々が働きやすい環境をそれぞれで構築することができるのです。そのため、ストレスや環境を起因とした離職を抑制できることに期待が高まります。
ワークアズライフは、仕事とプライベートの区別をなくすため、長時間労働を懸念するなど、仕事を生活の一部と認識することに抵抗を感じる従業員の声が増えてしまいます。
一般的に、自分が好きなこと、やりたいと思えることを仕事にできることは少なく、「やりたくない」「面倒くさい」「辛い」などのマイナス思考が生まれやすいです。それだけで、従業員はストレスが発生しやすいため、ワークアズライフの考え方を取り入れる際は、労働時間の管理は厳重に行う必要があるでしょう。
従業員の中には、報酬のために働くという考え方が強いがゆえに、報酬の満足度を上げるために長時間労働を行う者もいるでしょう。この働き方は、報酬のために身を犠牲にすることを厭わないため、ストレスを誘発しやすいと言えます。
ワークアズライフでは、いかに1日のストレスを許容範囲内に収めるかという点が重要です。マネジメント層は時間的報酬で従業員の満足度を高めるのではなく、どのような業務が得意で楽しいと感じるのか、不得意で苦手意識を感じているのかを引き出し、コントロールしていくことが重要です。
ワークアズライフの考え方を取り入れる際は、長期的な視点で人材を評価することがポイントです。
ワークアズライフを実践すると、従業員が業務を行う時間や場所がフレキシブルになることが多いでしょう。そのため、仕事へのやりがいを生み、モチベーションを持続させるためには、企業の目が届かない範囲での学びや経験も評価することが必要です。
目で見える業務遂行具合を評価基準とするだけではなく、従業員が業務のために何を学び、経験しているのかなどを定量的に評価する人事評価制度の策定を行いましょう。
携帯電話の普及、働き方改革、新型コロナウイルス感染症と近年の社会変遷は激しく、それに伴い、採用活動や企業の在り方、求職者、従業員が求めるものも変化しています。
ワークアズライフは、仕事とプライベートを一体化させることによって、ストレスを適切に管理し充実した生活を送ることができる考え方です。企業は従業員のストレスマネジメントができるため、離職要因を把握することができるだけでなく、テレワークを導入する際などもスムーズに対応をすることができるでしょう。
一方で、仕事を生活の一部と考えることに抵抗を感じる従業員もいることが考えられます。ワークアズライフの考え方を取り入れる際は、労働時間の管理を徹底して行うことに注意をしましょう。