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外国人材の採用のメリット・デメリットを解説

更新日:2023/11/01

2023年1月に日本とバングラデシュの両国でITやコンサルティング事業、バングラデシュ人材への日本語教育などを手掛けるカイコムグループと、日本や海外で外食事業や人材サービス事業などを手掛けるワタミが合弁契約を締結しました。
日本貿易振興機構(JETRO)によると、同社は今後日本への人材供給を増やしていく予定であると発表しています。(※1)
アフターコロナに伴い、日本で働く外国人の増加が予測されています。

今回は、外国人材の採用における日本の動向や、メリット・デメリットを解説します。
※1:JETROビジネス短信「Kaicomとワタミが合弁会社設立、日本への人材サービス事業を強化」



企業の外国人採用の動向

令和5年1月末に厚生労働省が「外国人雇用状況(令和4年10月末時点)」の届出状況を発表しました。(※2)
外国人労働者数は1,822,725人で、前年比95,504人増加し、届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新。対前年増加率は5.5%と、前年の0.2%から5.3ポイント増加しています。

日本では、少子高齢化による人材不足が慢性的な課題になっていますが、それを補うように外国人労働者は増加傾向にあるのです。
※2:厚生労働省 「外国人雇用状況(令和4年10月末時点)」の届出状況まとめ

外国人採用に関わる日本の動き

アフターコロナによって、日本の外国人の受け入れ態勢は柔軟になりつつあり、ますます日本で働く外国籍を持った母国語が日本語ではない人材が増加することが予想されます。

【1】やさしい日本語の研修のための手引の作成

政府は、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策において、全ての省庁で「外国人向けの行政情報・生活情報の更なる内容の充実と、多言語・やさしい日本語化による情報提供・発信を進める」こととしています。
2023年3月に出入国在留管理庁は、やさしい日本語研修の方法等をまとめた「やさしい日本語の研修のための手引」を作成しました。(※3)
※3:出入国在留管理庁「やさしい日本語の研修のための手引

【2】高度外国人材の受け入れ体制整備

政府は、一般的な外国人材の受け入れを推進するだけでなく、日本で働く外国人の高度人材を増やすための新たな受け入れ策を決定。具体的には、高収入の技術者や経営者が永住権を得るまでの期間を3年から1年に短縮したり、世界上位大学卒業者の日本企業への就職を促進するために、在留期間の延長や新たな制度を創設しました。(※4)
※4:首相官邸 「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」

外国人を採用するメリット

【メリット1】地方でも採用ができる

パーソル総合研究所の「日本で働く外国人の就業実態・意識調査」によると、多くの外国人材は、安全性が高いからという理由で働く場所を日本に決めています。(※5)
日本で働くことを考えている外国人材は、都会で働くことを求めているわけではなく、犯罪や衛生面を考慮していることがわかります。一極集中型の日本では、地方の人材が都会へ流れがちですが、外国人材は身の安全を確保できる環境を好む傾向があるため、地方での採用にも期待ができます。
※5:パーソル総合研究所 「日本で働く外国人材の就業実態・意識調査 結果報告書」

【メリット2】キャリアに前向きな人材を採用できる

母国ではなく、海外で働くことを選択する人材は、その地で学べる技術や高度な業務の実施など、目的意識が高い傾向があります。
例えば、日本の商品の製造ひとつをとっても、生産体制、品質管理、消費者に届くまでの流通は、海外より基準が厳しかったり、素早かったりするため、より高いレベルを学べる環境や職場を求めて就職を考える外国人材もいるでしょう。

【メリット3】社内の活性化を図ることができる

外国人材と働くことによって、多くの刺激をもらえることもメリットの1つです。メニューや商品のアイデア出し1つとっても日本で生活していては思い付かないことや、さまざまな気づきからフレッシュなアイデアを共有してくれることに期待ができます。
異文化要素が加わることで、社内コミュニケーションの活性化が図れることにも期待が高まります。

外国人を採用するデメリット

【デメリット1】コミュニケーションに問題が生じるリスクがある

社内の共通言語が英語や多言語ではない場合、日本語を話すことができる外国人材でないと、業務上トラブルが生じかねません。企業は採用時に、日本語の能力について確かめる必要があります。
日本には、どのくらい日本語を流暢に扱えるかを試験する日本語検定があります。採用基準を「N1」や「N2」にするなど、明示しておくことが重要です。

【デメリット2】文化や風習の違いによる問題が生じる可能性がある

日本で働くと言えど、外国人材にも大切にしている文化や風習があります。宗教上の理由でお祈りの時間が必要であるなど、事前に確認をしておかなければトラブルになりかねません。
また、当たり前ではありますが、日本と海外の常識は違います。顧客への態度や口調をはじめ、相違がないように業務を丁寧に共有することが大切です。

【デメリット3】雇用手続きが一般より煩雑になりやすい

日本人の雇用と外国人材の雇用の手続きは異なります。
採用活動をする前に、どのVISAを持っている外国人材なら採用できるのか、手続の方法や必要書類などについて一通り確認しておくことが必要です。

まとめ

アフターコロナによって、国境を跨いだ交流が盛んになっており、今後日本で働く外国人材の増加が予想されます。
少子高齢化による人材不足が慢性化している日本では、外国人材を採用することを視野に入れることも課題解消の一つの手段でしょう。
外国人材を採用する際は、採用手続方法を確認することはさることながら、自社の共通言語が日本語の場合は、外国人材が日本語をどの程度扱えるかを確認して採用することが重要です。

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