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【企業向け】2025年卒からの「インターンシップ」は何が変わった?注意点の実施ポイントを解説

更新日:2023/11/01

2025卒以降インターンシップの定義が大きく変わります。
優秀な人財を獲得するために新卒採用の早期化は年々勢いを増しており、企業はインターンシップをも活用し、学生との接触機会を増やす努力をしています。しかし、2025卒からインターンシップの定義が大きく変わるため、プログラムの変更やタイプ類型の確認などが求められています。

今回は、インターンシップの新たな定義と企業への影響、注意点などを解説します。

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三省合意改正とインターンシップ

従来のインターンシップは経済産業省・文部科学省・厚生労働省による「インターンシップの推進にあたっての基本的考え方(通称:三省合意)」によって、インターンシップを通じて得た学生情報を採用広報活動に利用できないことになっていました。
しかし、2022年4月に産学協議会で「一定の条件を満たす場合に限り学生情報の利用を可能とする」ことに合意が結ばれ、これに合わせて三省合意も改正。
この改正によって、25卒以降は一定の基準を満たす内容のインターンシップを実施することで、学生情報を採用活動開始後に活用できるようになりました。(※1)
※1:経済産業省 「現大学2年生より、インターンシップのあり方が変わります!」

従来からの変更点

  • 従来のインターンシップが4つの類型に振り分けられる
  • インターンシップは就業体験のことを指すため、4つの類型の中でも指定要件を満たすもののみインターンシップと定義
  • インターンシップ(新定義)は条件を満たせば、学生情報を採用活動開始後に活用可能
  • インターンシップ(新定義)は条件を満たせば、募集要項に「インターンシップ」と称し、「産学協議会基準準拠マーク」を記載可能
  • インターンシップ(新定義)は2023年度に学部3年もしくは修士課程に進学する学生から開始

「キャリア形成支援に関する取組み4類型」の概要

タイプ1:オープンカンパニー

オープンカンパニーとは、業界・企業による説明会・イベントが分類されます。
例えば、企業・就職情報会社や大学のキャリアセンターが主催するイベント・説明会などの、個社・業界の情報提供やPR活動などが「オープンカンパニー」に属します。
実施時期は、学業両立に配慮したうえで、「学士・修士・博士課程の全期間」可能です。
しかし、オープンカンパニーで取得した学生情報の採用活動への活用はできないため注意が必要です。

タイプ2:キャリア教育

キャリア教育とは、企業がCSRとして実施するプログラムや、大学が主導する授業・産学協働プログラム(正課・正課外を問わないもの)が分類されます。
実施時期は、学業両立に配慮したうえで、「学士・修士・博士課程の全期間」で可能ですが、企業主催で実施する場合は、実施の時間帯やオンラインの活用など、より一層な配慮が求められています。
また、就業体験を任意とする場合はこのタイプに分類されます。オープンカンパニーと同様、取得した学生情報の採用活動への活用はできないため注意が必要です。

タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ

就業体験、学生自身が自らの能力の見極め、評価材料の取得の性質を持つプログラムの場合、汎用的能力・専門活用型インターンシップに分類されます。
プログラム内容では就業体験は必ず行い、参加期間の半分を超える日数を職場で行う必要があります。さらに、学生の参加期間について短期(汎用的能力活用型)は5日間以上、長期(専門活用型)は2週間以上の実施が求められます。
また、無休や有給の規定もあるため、注意が必要です。
汎用的能力・専門活用型インターンシップは一定の要件を満たすことができると、採用活動開始以降に限り、取得した学生の情報を活用することが可能です。

タイプ4:高度専門型インターンシップ

就業体験、学生の実践力向上、評価材料の取得などの性質を持つプログラムの場合、高度専門型インターンシップに分類されます。
具体的には、ジョブ型採用などを考えている企業向けに、ジョブ型研究インターンシップや高度な専門性を重視した修士課程学生向けインターンシップ(2023年7月時点:産学協議会で検討中)のことを指します。こちらも、一定の条件を満たせばインターンシップで取得した学生の個人情報を採用活動に使えるようになります。

「キャリア形成支援に関する取り組み4類型」による企業への影響

今回の改正で、インターンシップと呼べるものはタイプ3と4のみとなりました。タイプ1やタイプ2に分類されるプログラムは、学生との接触機会の減少や企業によってはプログラムの見直し対応などが求められ、インターンシップで得た学生の個人情報を採用活動でも利用可能となるタイプ3と4に比べてメリットが少ないように感じるかもしれません。
しかし、早期から自社や業界についての理解を深めてもらえる機会を作ることはできるため、長期にかけて学生と接触できるチャンスが増えます。そのため、採用時には企業や業界への理解を深めた学生と出会えることに期待が高まります。

学生情報の取り扱いについての注意点

タイプ3と4では、以下の要件を満たすことによってインターンシップで取得した学生の個人情報を採用活動開始(3月1日)以降に利用できるようになります。また、利用目的は、あくまでも「採用活動の情報提供」にとどまるため注意が必要です。
タイプ3に関して、利用に当たっての5つの条件は以下です。(2023年7月時点)(※2)
※2:一般社団法人 日本経済団体連合会 「産学協働による自律的なキャリア形成の推進」

【1】就業体験要件

学生の参加期間の半分を超える日数を職場での就業体験に充てる (テレワークが常態化している場合は、テレワークも「職場」とする)

【2】指導要件

就業体験では、職場の社員が学生を指導し、インターンシップ終了後、学生に対しフィードバックを行う

【3】実施期間要件

汎用的能力活用型は短期(5日間以上)
専門活用型は長期(2週間以上)

【4】実施時期要件

学業との両立の観点から、「学部3年・4年ないしは修士1年・2年の長期休暇期間(夏休み、冬休み、入試休み・春休み)但し、大学正課および博士課程は、上記に限定されない

【5】情報開示要件

募集要項等に、以下の項目に関する情報を記載し、ホームページ等で公表する必要があります。
①プログラムの趣旨(目的)
②実施時期・期間、場所、募集人数、 選抜方法、無給/有給等
③就業体験の内容(受入れ職場に関する情報を含む)
④就業体験を行う際に必要な(求められる)能力
⑤インターンシップにおけるフィードバック
⑥採用活動開始以降に限り、インターンシップを通じて取得 した学生情報を活用する旨(活用内容の記載は任意)
⑦当該年度のインターンシップ実施計画(時期・回数・規模等)
⑧インターンシップ実施に係る実績概要(過去2~3年程度)
⑨採用選考活動等の実績概要 ※企業による公表のみ

まとめ

優秀な人財の獲得競争は激しく、新卒採用の早期化はますます進んでいる傾向にあります。インターンシップやイベントなどで接触を試みる企業も多い中、インターンシップの定義が新しくなりました。
この改訂により、インターンシップはあくまでも「インターンシップ」であり「選考活動」ではないことが明示されました。
このことにより、合否にとらわれない本来の学生の素養やパフォーマンスで、企業と学生の双方が価値観のすり合わせをできることに期待が高まります。
企業は、まずは三省合意について把握し、自社のインターンシップのプログラムを見直すことが必要と言えるでしょう。

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