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リファレンスチェックとは? 実施するメリットや質問事例・注意ポイントを解説

更新日:2023/11/01

新型コロナウイルスや働き方改革の影響により、テレワークや副業、フリーランスなど働き方が多様化している近年では、一人当たりの離職回数が増加し、“離職=当たり前”となりつつあります。優秀な人材の流出は事業活動の停滞や企業成長の鈍化などを招く可能性があるため、企業はミスマッチのない採用を行うことが求められるでしょう。

しかし、履歴書や面接だけで採用候補者の本質部分を見抜くことは容易ではありません。そこで、採用の合否を判断するために不足している情報を得る手段として「リファレンスチェック」が注目を集めています。
今回は、リファレンスチェックを実施するメリットや質問内容、注意するべきポイントについて詳しく解説します。



リファレンスチェックとは?

「リファレンスチェック」とは、”採用候補者が自己申告した経歴などに偽りがないか”を前職の上司や同僚に確認することを指します。書類選考や面接だけではわからない情報を、選考に関係のない第三者から得ることで、採用の合否における判断材料を増やすことが可能です。

リファレンスチェックが注目されている背景

新型コロナウイルス感染症の影響で採用活動のオンライン化が進んだことにより、感覚的なカルチャーマッチの度合いを見極める機会は、従来の採用活動と比較すると少なくなっています。
そこで、昨今では採用活動におけるミスマッチを減らす一つの方法として、実際に働いていた前職の上司や同僚にヒアリングを行い、書類や面接だけでは補いきれない採用候補者の客観的情報を収集する「リファレンスチェック」が注目を集めたのです。

リファレンスチェックを活用するメリット

【メリット1】ミスマッチの防止ができる

リファレンスチェックを行うことで、採用候補者の職務遂行能力や人柄などを確認することができます。一緒に働いたことのある第三者から見た実際の働きぶりをヒアリングすることで、採用候補者のスキルや長所・短所が募集内容とフィットするかの判断がしやすくなるため、ミスマッチの軽減が期待できます。
また、書類や面接だけでは判断することが難しい、人柄や人間関係の構築の仕方なども確かめることができるため、自社の社風に適しているか、求めている人物像とマッチしているか、の判断もしやすくなるでしょう。

【メリット2】企業コンプライアンスを守ることができる

企業コンプライアンスを守ることは、企業を経営していくうえで非常に重要です。企業の信頼度が下がってしまうと、同時に企業価値も低下し、倒産のリスクを負いかねません。
リファレンスチェックを行うことで、採用候補者が経歴・職歴などを誇張・虚偽して申告していないか、コンプライアンス的にリスクはないか等、事前に検知することができます。

【メリット3】入社後の早期活躍支援

リファレンスチェックは選考フェーズだけでなく、入社後にも活用することができます。実施することによって、採用候補者の性格や価値観を知ることができるので、マネジメントの参考にもなり得るのです。また、強みとなるスキルや苦手な業務をあらかじめ把握することができるため、入社後に活躍しやすい環境を用意しやすくなることもメリットと言えるでしょう。

リファレンスチェックのデメリット

【デメリット1】時間や労力がかかる

リファレンスチェックを導入することで、リファレンス回答者(前職の上司や同僚)とのスケジュール調整や質問内容の選定等、通常の採用業務とは別に工数が発生するため、必然的に業務量は増加します。また、選考に時間がかかり、選考スケジュールが後ろ倒しになってしまったり、他社の内定が先に出てしまうことも考えられます。
リファレンスチェックサービスを展開している業者に委託するなど、自社でリファレンスチェックを行う余裕があるかを考慮し、現在の採用環境下に支障をきたさないように導入方法を工夫することも大切です。

【デメリット2】求職者から嫌えんされる可能性がある

リファレンスチェックは、採用候補者の元上司や元同僚に回答を依頼するため、少なからず採用候補者に負担がかかります。そのため、職場の人間関係や、前職の上司・同僚に依頼ができない事情がある場合には、採用候補者が選考辞退を希望することにつながるリスクがあります。
毎回実施をするのではなく適宜行うようにしたり、自社の人員拡大フェーズではなるべく控えるなど、実施頻度や時期を工夫することも必要でしょう。

リファレンスチェックを実施する流れ

リファレンスチェック実施のタイミングは企業ごとに異なりますが、内定前後の最終判断を行う際に実施されるケースが一般的とされています。最近は自社で実施するのではなく、リファレンスチェック専門のサービスを展開している企業へ委託する企業も多く、実施方法はさまざまです。ここでは、自社でリファレンス回答者に直接コンタクトを取るパターンの実施フローを紹介します。

【1】採用候補者へリファレンスチェック実施の通知

まずは、採用候補者にリファレンスチェックを実施することを説明し、同意を得る必要があります。実施の目的や、前職の関係者から個人情報をいただくこと、リファレンス回答者(前職の上司や同僚)の連絡先を共有してもらうことを説明し、承諾を得ましょう。

【2】リファレンス回答者からの承諾と確認

採用候補者にリファレンスチェックに協力してもらう方(前職の上司や同僚)を探してもらい、リファレンスチェックについての説明を依頼しましょう。協力の同意が得られたら、企業にリファレンス回答者の連絡先を共有してもらいます。その後、自社のリファレンスチェックを行う担当者と、リファレンス回答者でリファレンスチェックをする日程調整を行います。

【3】リファレンスチェックの実施

実施方法はメールや電話、ビデオ電話などの方法が一般的です。当日、リファレンス回答者に連絡をし、事前に決めておいた質問内容のヒアリングを始めましょう。なお、メールなどの文面でやりとりを行う場合は、必ず送付締切日の設定をすることが重要です。電話やオンラインミーティングなどで行う場合は、追加の質問を行い、事前に決めておいた実施時間を超えてしまわないよう注意しましょう。

リファレンスチェックの質問内容例

リファレンスチェックの実施において、どのような質問が必要かを事前に確認しておくことは大切です。自社の採用ペルソナをもとに、質問を準備しておきましょう。ここでは質問内容例を紹介します。

■質問例
・採用候補者の勤務期間はいつからいつまででしたか?
・役職・仕事内容・実績は正しいですか?
・遅刻や欠勤は多くありませんでしたか?
・周囲とのコミュニケーションはどうでしたか?
・仕事を進めるうえで、個人とチームどちらが適していると思いますか?
・候補者はどのような人物ですか?
・また一緒に働きたいと思いますか?
・長所・短所は何ですか?
・問題解決能力/意思決定能力はありましたか?
・リーダーシップはありましたか?
・部下がいた場合、部下の教育はできていましたか?

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リファレンスチェックを実施する際の注意ポイント

リファレンスチェックは、正しく実施しなければ違法になる可能性があるため注意が必要です。ここでは、リファレンスチェックを実施する際に注意すべき2つのポイントを紹介します。

【1】個人情報保護法に触れないようにする

本人の同意なしで個人情報を提供することは、法律で禁止されています(個人情報保護法27条)。リファレンスチェックも同様に、本人の同意なしで実施をすると「個人情報保護法」に抵触し、違法となってしまうため注意が必要です。
また、リファレンスチェックを実施する際は、個人情報の管理方法を明示するなど、採用候補者が不安を抱かないような配慮を行うことも重要となるでしょう。

【2】リファレンスチェック後の不採用は慎重に行う

リファレンスチェックの結果、自己申告に虚偽があった場合には内定の取り消しを検討することもあるでしょう。しかし、内定を出したタイミングで、企業と採用候補者の間には労働契約が成立した状態とみなされます。内定の取り消し=“解雇”となるため、「リファレンスチェックの結果がよくなかったから」という理由だけでは内定を取り消すことはできないのです。
また、内定を出す前であっても、個人情報を取得されたにも関わらず「不採用」を通知されると、企業のイメージに影響を与える可能性が考えられます。リファレンスチェックを実施する際は、タイミングの調整はもちろん、実施する対象者選定なども慎重に行う必要があるでしょう。

まとめ

近年、採用活動のオンライン化はますます進み、面接は対面ではなくWeb(オンライン)が主流となっています。しかし、オンライン上で採用候補者の人柄や働きぶりなど、本質を見抜くことは容易ではありません。そこで、採用の合否を判断するために不足している情報を得る手段の一つとして、多くの企業から注目を集めたのが「リファレンスチェック」です。
リファレンスチェックを実施することで、選考に関係のない第三者から情報を得ることができるため、採用の合否における判断材料を増やすことが可能となります。さらに、採用候補者のスキルや人柄・性格を入社前から把握することができるため、入社後の早期活躍にも効果的と言えるでしょう。
ただし、個人情報を取り扱うため、実施をする際は違法とならないよう注意が必要です。実施の際は、適切な体制整備を進めたうえで実施するよう意識をしましょう。

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